インテリアが大好なお客様の多くが最後に憧れるのが、バルーチ族のキリムです。
山岳地帯で暮らした彼らは部族ごと、素晴らしい出来栄えのキリムを伝え継いできました。現在では高値の花となってしまったバルーチのキリムをアッいたしました。
KJ14298Aは、バルケシールの遊牧民が織ったチュアルと呼ばれる大きなクッションのような衣類袋です。最小限の持ち物で常に移動を繰り返した遊牧民は、実用品でありながらも装飾品として、生活に潤いを与えてくれるキリム作りに心を砕きました。チュアルを一枚の布に直し、使い易くしてくれたのは子孫の若い問屋さんです。
KJ30476は、フェティエの30年位前の新作です。先祖のキリムを手本に、現代インテリアを意識した作品です。
自然が作る褪色の美しさをお伝えしたく、長い間当方の手元にありました。
自宅作業のような時間が続くお陰で、十分に時間をかけ手入れをし、お客様にご紹介できるようになりました。お楽しみくださいませ。
元は、チュアルと呼ばれるクッションのような形をした大きな衣類袋でした。
袋をほどき、一枚にし、二つに分け、上下に丁寧なステッチを掛けてくれたのは、子孫のマラティアの問屋さんです。お陰で、床敷きや壁掛けなどに使い勝手が良いキリムになりました。
見事な仕事のキリムです。
このチュアルはいつの時代もテントの中心に置かれ、織りの教材として一族の宝物のように大切に使い継がれてきたのでしょう。
穏やかな重厚感を漂わせながらも優しい表情で、子孫たちを見守り続けてきたチュアルは、まるで祖母が身近にいるかのように、いつも大事にされてきたからの優しい穏やかさです。
上等のウールは縫い糸のように強く丈夫な縦糸を作っています。縦糸に負けないぐらい強く細い横の色糸は、褪色して益々落ち着きを称えています。藍色のストライプの間に織り込まれたジジム織りの刺繍は、100年の時間の経過にもビクともしていません。
今よりはるかに恵まれた自然と織り手が生み出した傑作です。
自然光にあたると、まるで絹のような光沢を見せるアンティークです。
めったに出合えないズリ織りは、畳の目のように、縦に、一本筋を通しながら、地になる横糸を入れていきます。その後に色糸を使い柄を付けていく根気のいる仕事で、平織りのキリム織りの上に刺繍糸が乗っている織物です。
これはキリム織りの三倍もの時間をかけたどっしりしたズリ織りです。100年前の織り手が上質の糸を使い染めた茜色と藍色をベースにした色調は、自然の力と光そして時間の協力により、このように優しく力のあるキリムに育ちました。
画面一杯に輝く「星=幸せへの願い」に大小の「箱=子孫繁栄」からは、孫娘の嫁入り道具としてこれを織った織り手の孫娘への深い愛情が伝わってきます。
KilimsJapanのInstagramを開設しました。
これから様々な情報を更新してまいりますので、ぜひご覧ください。
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植物の少ない東トルコの山岳地帯に位置するカースに伝わる伝統的キリムは、濃い茶、茶、ベージュなどを使ったナチュラ、もしくは無染色に近い黄土色系で、重く落ち着いた色調です。
織り手達は、画面一杯に柄を付けたキリムやヤギの毛を経糸あるいは横糸に使ったキリムを織り、技術を競い合うかのようなキリムを残してきました。
19世紀末、ドイツで生まれた化学染料は、織り手達に染色する喜びを運んできました。
貴重な化学染料は、織り手の創作意欲を大いに刺激したようです。織り手は、直毛で羊より硬いヤギの毛を、天国や楽園を意味する、明るい草色に染めています。相当な技術の織り手の色への憧れは、見事にヤギを横糸に使っています。エネルギーや豊かさを象徴するピンク色や茜色も、化学染料で簡単に染め出せました。
憧れの色糸で織り上げたキリムは、いつも夢見ていた、豊かさ一杯の楽園です。
織手の世界を想像しながら、自分の空間を埋めていくのも楽しいチャレンジです。
本日は、2枚のクッションをアップいたしました。
コレクターなら、一枚は持っていると言われるロシア、カラバ地方のアンティークキリムです。長い時間と光が作り上げた深い色調をお楽しみください。
もう一枚は、トルコ、ベルガマのキリムです。
もし二人が同じ時代に織りをしていたら、若いベルガマの織り手は、完成したカラバの織り手の作品に、闘志を燃やしたことでしょう?
100年以上前の織手たちの作品です。
ロシア、カラバの織手は、オスマントルコの支配下に置かれても、現実をしなやかに受け入れ、自分の世界を表現しています。コンヤの織手は、上等の天然ウールを見事に使いこなしています。
ウズベキスタンの織手は、土地に伝わるジャジム織りで、光沢あふれる織物を見せてくれます。そして、カフカス、シルバンでも、織手は伝統のダイヤモンド柄にトルコ、アナトリアのドラゴン柄をうまく融合させています。
どのような事態下でも、織手達の見事な創造力は止まりません。
コンヤ、タシプナルの可愛らしい豊かな色調は、元気を与えてくれます。大胆な力あふれるデザインも、コンヤです。キリムの一大集散地が生み出したキリムは、見飽きません。
山岳地帯カースの織手は、伝統の無染色キリムに色を加え、新しいカースを作りました。
アダナ、カイセリ、アンタルヤ、etc. -こんな時期だからこそ、明るいキリムに癒されます。今年、制作しておりますのは、通常より一回り小さいサイズや横長のサイズです。サイズの違いが、空間に違った雰囲気を作ってくれます。
カフカス地方の伝統である、精緻で上質の美しいキリムの面影を感じさせる、100年位前に織られたアダナキリムです。
腕に自信のあるレイハンリの近隣アダナの織り手は、十分に時間をかけ、必要以上に丁寧な仕事を見せてくれます。
テレワークも一年になります。すっかりこのリズムになれてしまった最近です。
この間、クッション作成や小物作りを楽しみました。
また、少しづつアップを続けます。
今後とも、よろしくお願いいたします。
斎藤 待子
KJ39150,126x67cm,¥150,000.-+税
西アナトリア、マナスティルのアンティークキリムを織ったのは、熟練した織り手です。「どこまでも薄く」を目指し使われた綿の経糸とウールの横糸は、100年以上の時間が流れた今では、しなやかで優しい雰囲気作りに一役買っています。
KJ39151,132x77cm、¥150,000.-+税
コンヤの熟練した織り手のスマックは、本場イランのような緻密さとは違い、ゆったりした糸の使い方がおおらかで、いかにもトルコといった表情を見せています。
熟練した織り手達が、自由自在にそれぞれの気持ちを表現しています。
マナスティルは黒海に近い北部アナトリア(アジア側)にあります。バルカン半島から移住してきた人々が織り継いできたのが、マナスティルキリムです。
赤、ピンク、黄や黒などが使われた礼拝用デザインのキリムが有名です。一枚のキリムに使われている色が多いにも関わらず、バルカンの伝統を引き継いでいるデザインや色合わせは、アナトリアの他地域では見られない、すっきりした独特の雰囲気を持っています。
糸のように細く強く撚られたコットンの縦糸に、まるで綿糸のように細く強く撚ったウールを横糸にびっしりと入れたのは、何枚もキリムを織った熟練した織り手の作品です。
キリムの緻密な仕事が見せる薄さとしなやかさからは、織り手の自負が伝わってきます。
織り手はタペストリーを織ったのでしょうか?
布に立体感を見せるため、縞柄部分は通常の織り、縞柄をつなぐ柄付けは、2本糸を使い厚みを出しています。決して今に満足せず、どこまでもその上を目指した熟練した織り手ならではの工夫が、とてもうれしいアンティークです。
ロシア、カラバのキリムは、コレクターが欲しがるキリムです。修理針も通らないほど細く強く撚られた糸が使われたキリムは、もう少しでアンティークですが、今が旬といった表情で輝いています。
ベルガマもアンティークに近いキリムです。
伝統ある重厚感溢れる色調は、先祖以上の仕事を目指した織り手の会心の作品に違いありません。
東欧系遊牧民を先祖に持つ織り手達は、先祖から伝わる精緻な織りの技術を馳駆ししながら、この草木染キリムを追っています。
細い糸が使われた細かい織りのキリムは、インテリア空間に柔らかさを与えてくれます。
東トルコの山岳地帯、ガジアンテップの見事なアンティークキリムです。遊牧民が畏敬した狼は、「邪視除け」として、アナトリアキリムに良くみられます。
縞柄しか使わないコンヤトルクメンのキリムも、アンティーククラスになるとこの様に幾何学文様が見られます。デザインは、「櫛」幸せな結婚を願う、です。
年代が同じ80年位のキリムです。アプリコットの生産量が7割と言われる芳醇な土地マラティアは、一年中、豊かに実る植物がありました。植物のパワー一杯のキリムです。
カッパドキアの奇岩石群見学はカイセリ空港がら始まります。植物の入手が簡単でなかった土地では、織り手達の工夫が見られます。貴重な植物と当時では貴重であった化学染料のコラボが新しさを感じさせます。
同じキリムから作ったマットは、それぞれの雰囲気を作っています。
ヨーロッパ側トルコ、シャルキョイの伝統を踏襲した細かい織りの薄いキリムです。遠い先祖の織物を手本に、日々、努力を重ねている現代の織り手達の仕事です。