KJ19518、180x108cm、コンヤ, アンティークキリム

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キリムNo.: KJ19518

産地: コンヤ, アンティークキリム

寸法: 180x108cm


一体どのような織り手なのでしょう、この人は?色使い、柄付け、織り方、染色センス、所々にある遊び、どれもがアートです。
ブルーのトルコ石の下にはポケットがあります。糸は普通に入れられているのに、いつから、どうしてこうなったのでしょう? 様々な「Why?」に、キリムへの興味は見るたび深くなります。織り手に直接話が聞けたらな~なんて言葉が出てきそうです。

床に置くと吸いつくように直線的な織物に、私たちは安心感を覚えます。型紙を使いそれに沿って織られていく私たちの敷物は、畳の線に沿うようにまっすぐです。それが私たちの目には心地よく映ります。

キリムはその対極にある織物です。キリムの織り手には型紙を使う習慣がなく、日々、気持ちの赴くままに織りを進めます。柄や色は先祖から織り継がれてきたものであり、目をつむって織っても手は自然に動きます。織り手たちは、織りをする母や祖母の傍で、小さい頃からその手に、感覚に、織る事をしみ込ませてゆきます。

どこまでも広がる草原と包み込むように大きな青空、織り手の目の前に広がるのは大好きな春の景色です。春が訪れると草原は様々な色で埋め尽くされます。
手にした色々な植物や花から、黄、黄緑、緑、様々なオレンジ、緋色(ひいろ)、藍色などを取り出した織り手です。大胆な柄でありながら繊細さが感じられるのは、高い染色技術が染めだした複雑な色のお陰です。

満足いく数々の色糸を手に、織り手は心の宇宙と信仰心を、キリムに織り込みました。
織り手の想像力と宇宙観が、見る私たちを彼女の楽園に誘ってくれます。来世を信じるイスラム教徒は、彼らの楽園や天国を黄緑系で表現しました。オレンジと赤は「癒し」と「エネルギー」を象徴しています。一人になれる織りの時間は、神様とお話をしながら楽しく過ごせる時間です。キリムに喜びを織り込んだ結果、こんなに大らかな形のキリムになりました。

大事に使い継がれた最上級のウールは、100年の時間と光と言う自然の力に、その美しさを一層引き出してもらいながら、これからも喜びを振りまいてゆきます。




ミフラブ文様=礼拝用デザイン 鳥=幸せの予感 眼=邪視除け 水の流れ=生命を支える水が、常に身近にありますようにとの願い


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