KJ11710、373x125cm、カフカス地方、シルヴァン、アゼルバイジャン・アンティークキリム(ウール/ウール)

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キリムNo.: KJ11710

産地: カフカス地方、シルヴァン、アゼルバイジャン・アンティークキリム(ウール/ウール)

寸法: 373x125cm


1993年に出合ったシルヴァンのアンティークです。ウィンドーに飾られた深い赤と藍のキリムは、光を浴びキラキラと輝いていました。
夜空に浮かぶ満天の星が瞬間に頭に浮かぶほど、柄が一杯のキリムです。普通、これほどの大作ですと、描かれている柄が上下左右にきれいに並ぶのもですが、この熟練した織り手は、気の向くまま楽しそうに柄と色を織り込んでいます。
赤、藍、緑の馴染みある色調ですが、色も柄も初めて目にします。美しいコクのある鮮明な赤色はコチニール?高そう?と眺めている私たちに、ドアーを開けたオーナーは、「カフカス、シルヴァンのアンティークだよ。黄金の羊と呼ばれたメリノ種が使われたキリムだよ。昔の色のすばらしさを見てご覧。」と、誘いました。

アゼルバイジャンは豊かな古代文化を持った国で、遺跡より発見されたウール、麻や綿などの素材が、様々な部族が独自の織物を織り継いできたことを教えてくれます。
人々は樹皮、茎、花、芽や葉から植物染料を取り出し、身近にあった素材を糸にし、染め、衣服、袋、壁飾りや間仕切りなどを作り継いできました。
鉱物や昆虫も染料材料となりました。動物由来の染料は植物染料より色の定着が良く、貝紫、コチニール、グルムズと呼ばれる赤虫などが安定した染料として、高い評価を受けてきました。ここでは19世紀半ばまで、「自然から贈られた絵具」と呼ばれた天然染料のみが使われてきました。

床におろされたキリムは自然光の下、壁とは違った深い表情を見せています。問屋さんの説明で、紫を感じさせる赤色が、動物染料に植物染料を加えた結果の色であることを納得しました。浸透力が優れた動物染料をベースに植物染料が加えられた糸が、100年以上たった織物に、一層の深さと美しさを与えていたのです。
藍色も、青緑も、赤色と同じく永遠とも思えるほど時間をかけた織り手のみの色です。

上等のウールを強く細く丈夫に撚った織り手の高い技術は、かっちりとした織りが特徴のシルヴァン・キリムから少し離れ、縦糸の感覚をチョットゆるくしています。勿論、横糸はビッシリ入れられており、痛みは出ていません。このゆったり感が、キリム全体を柔らかい印象にし、遊びを感じさせています。自分の気持ちを自由自在に表現できる織り手の、技術の深さが光るアンティークです。



足かせ=友愛、 羊の角=繁栄、たくましさ、 眼=邪視除け、 鳥=幸せの予感、 水の流れ=生命を支える水が常に身近にありますようにとの願い


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