KJ00001、223x148cm、ワン、アンティークキリム

キリム マイギャラリー

キリムNo.: KJ00001

産地: ワン、アンティークキリム

寸法: 223x148cm


1988年、当時のマーケットはクルド族のキリムの全盛時代です。どこの店も力強い大柄の、赤、藍、白のエスニック調のキリムで埋め尽くされていました。色調は好ましいのですが、大きな柄に少々食傷気味だった私たちの目に飛び込んできたのがこのキリムです。

山ほど見せられたワンキリムで鍛えられた目に、バランス良いデザインで心地よい色調のキリムは、大柄でありながらも別次元の作品に映りました。ツヤツヤ光る藍色と茜がとても深く美しく、見ていると気持が膨らみ豊かな気分にしてくれます。
化学染料のピンクが小花のように愛らしいキリムに、KJ-00001の番号を贈呈しました。感動に浸っている私たちに「別格キリムを良く選んだ。ワンクルド族の文化だよ。良いコレクションだ。」と話しながら、笑顔の問屋さんは文化価格を提示してきました。

それから28年、あの時私達の行く道を示してくれたキリムは、我ながら感心するほど上等で、たっぷりの魅力で00001の貫禄を見せています。100年以上前の自然環境や人々の価値観を映しているキリムは、見る者を当時に誘います。
上等のウール、濁りのない鮮明な染め、高い織りの技術が生み出したキリムは、時間と共に褪色し、益々輝きを増しながら、文化と言う本物が見せるべき姿を見せています。

クルド族は2000年以上もの間、遊牧生活を続けてきた人々です。
この間、彼らは常に羊の毛の改良を続けてきました。お陰で、もつれ毛であった古代の毛が、紡ぐ事が出来る長くて柔らかい繊維へと進化していきました。良質の毛を求め、部族間の品種交配も行われ、毛の色も象牙のような白から、茶、濃茶、灰色や黒に近い色まで幅広く多様化していきました。

滑らかに糸を撚り、表情ある色糸に染め、織ったのはキリムの達人です。真中を剥ぎ織るというワンの伝統に沿ったキリムの幅は、達人と言えど左右対称ではありません。織り手のあるがままの心の動きや、日常が垣間見える楽しさがキリムにはあります。
又、大きな眼のデザインに使われている茜色は、染められた当初は同じ赤色でしたが不思議な事に、今では全部の色が違います。
大事に使い継いだ子孫と光の共作か、なぜ?に「インシャーラ!(神様のお御心次第よ、色は神様からの贈り物だから。)」と、織り手の明るい声が返ってきます。




眼=邪視除け、 ドラゴン=豊かさをもたらす。 狼の口=邪視除け、 


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