KJ34560、243x142cm、フェティエ、オールドキリム

キリム長さ 2m以上, 商品

キリムNo.: KJ34560

産地: フェティエ、オールドキリム

寸法: 243x142cm

価格: 308,000円

西アナトリアの地中海岸のフェティエには、このような縞柄のキリムが伝えられています。
この地域の遊牧民は比較的遅くまで遊牧生活を続けており、遊牧民がいなくなった現在でも、縞柄でコンディションが良く、50年前後の使い易いキリムに出合えます。

これはキャメルの毛を使い70~80年程前に織られた、状態の良い貴重品キリムです。
通常、織り手は羊の毛を使いキリムを織ります。が、このキリムは、茶系の横糸にキャメルが使われている、珍しいキリムです。

キャメルは、遊牧民が次の牧草地に移動する際、隊列を先導する役割を担っていました。
水と草を追い求め移動を繰り返すのが遊牧民です。移動の際、ラクダの背にくくられたのが、先祖代々織り継がれてきた、部族を象徴する文様が織り込まれた大きなチュアル(衣類袋)です。どの部族が通過しているのかの識別を遠くからでも容易にするため、多くの遊牧民は、背の高いキャメルを先頭役に移動を繰り返したのです。

年に2回毛を刈れる羊やヤギと違い、貴重なキャメルは、人間と同じく脱毛する家畜です。
織り手は、脱毛の季節に、クシを使い毛をすくい取ったり、地面に落ちた毛を集めたりの作業を、根気強く何年も繰り返しながら、織りに使える糸を採取していったのです。
羊とは違った柔らかさと温かさを持つキャメルですが、織り手が一生で使えたキャメル糸は、キリム1~2枚分ほどだったようです。

これは、固く強く撚られたウールを縦糸に、横糸はウールと天然のキャメルの縞柄です。
傷むことなく使われ続け70~80年程が経過した天然のラクダ色は、自然光の下、柔らかく上品な雰囲気で、植物染料で染められた赤いウールの色糸を優しく包み込んでいます。

キリムを織り始めて久しい織り手に、何枚も織る機会のないキャメルのキリムは、大いに力を与えてくれました。
ウールとキャメルの違う素材を、繊細に見事に織り上げた織り手の力量に力を貸してくれたのは長い時間と自然の光です。勿論、先祖から受け継いだ宝物を、丁寧に大事に使い継いできた子孫の力があってこその、現在の表情です。



バードック(ごぼう)=裕福


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