KJ33990、92x43cm、バルーチ族、アンティーク小物入れ(ウール/ウール)

商品, 逸品キリム

キリムNo.: KJ33990

産地: バルーチ族、アンティーク小物入れ(ウール/ウール)

寸法: 92x43cm

SOLD OUT

2006年に訪ねた問屋さんのコレクションルームの白壁に掛けられたバルーチは、小さな窓からの光を受けながら、穏やかで落ち着いた、それでいて凛としたたたずまいは、瞬間に私たちの目を捉えました。
これがキリム?と思えるほどの繊細さです。その繊細と丁寧さゆえ、部族の宝物として大事に使い継がれ100年以上経ったキリムを前に、私たちはこの出合いに有頂天でした。

バルーチ族の祖国はバルーチスタンです。砂漠や低木地帯からなる山岳地帯は、アレキサンダー大王始め、様々な国の支配下となり、現在ではイラン、パキスタンとアフガニスタンに分割されています。この為、遊牧生活をする彼らのキリムの特定は、とても難しいと言われてきました。

「どこのバルーチ?」の質問に、「重くくすんだ藍と茜は標高の高い部族の物。精緻な織りはパキスタン・バルーチのシャフィ織りに近い。しかし、重厚感ある色調と織りの精緻さと確かさは、バルーチ最高のチャラクナスールのバルーチだろう。」と答えた問屋さんです。

この織り方は日本では「錦織り(にしきおり)」です。
錦織りは日本では絹糸を使います。留袖を着た時に使われる帯は、一番格調の高い錦織りです。職人の腕が試される繊細な織り方が錦織りです。

絹を持たない遊牧民たちは、最上級のウールを綿糸あるいは絹糸のように、細く強く撚りました。膨大な時間と忍耐力が必要とされた糸作りは、現代ではとても出来ません。また、これほどの腕はもはやありません。
織り手達は、部族の伝統を子孫に伝え継ぐという自負心と、どこまでも伸び続ける自身の技術にチャレンジすることが、誇りであり楽しみでもあったのです。30年収集した遊牧民のキリムの中で、最も緻密な織物です。

これは、何に使われたのでしょう?
裏に返すと、ヤギの毛で作った強く丈夫な輪があります。広げられたキリムを二つに折ると、小さな袋になります。現代では、宝石箱に匹敵するくらい贅沢な小物入れでしょう。大事な装身具、あるいは貴重な穀物を入れたのでしょうか?大切な物が現代とは全く違った、一昔前です。




水の流れ=生命を支える水が常に身近にありますようにとの願い、 眼=邪視除け、 ドラゴン=水と空気の支配者、豊かさをもたらす、 鳥=幸せの予感、


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