KJ14456、167x44cm、マラティア、アンティークヤストク(コットン/ウール)

商品, 逸品キリム

キリムNo.: KJ14456

産地: マラティア、アンティークヤストク(コットン/ウール)

寸法: 167x44cm

価格: 220,000円

1996年、マラティア・オーナーの店で見つけたのは文化と呼ぶべきヤストクです。
ヤストクとはトルコ語で「枕」です。90x60cmほどに織られた袋は、眠る時は枕、寛ぐときはクッション、そして移動の際は、貴重品や穀類入れとして大活躍しました。

「いつ頃から使われているの?」に、「これは、僕のじいちゃんが生まれたころからかな、ずっと前から先祖から伝え継がれた文化さ、いつまでも使われるものを作った先祖に感謝だよ」と、目を輝かせながら、先祖を語り始めたオーナーです。

娘の嫁入りの持参品であったこのヤストクには、最上級のコルクウールが使われています。ツヤツヤと輝くウールと色は、100年以上前のものです。
茶色、黄土色、黄緑色、紺色、藍色、青色、臙脂(えんじ)色、茜色、柿(かき)色など、色出しの名人である織り手はウールの力を借りながら、先祖を代表する色を生み出すことに心を砕きました。上等なウールは思い通り透明感の高い深い色に染まりました。

マラティアではコットンは通常アクセントとして、刺繍織りのポイントに使われてきました。が、この織り手はキリムの地に、ウールより丈夫な綿を使っています。 何代もの子孫に使い継がれることを念頭に置いた織り手の決断でしょう。強く細く丈夫に撚られた綿糸は、100年を超えてもビクともしていません。

針が入る隙間のないほどビッシリと織られた綿地に、色糸を横に入れながら柄を付けていくジジム織りは、手が壊れそうなほど大変であっただろうと想像します。熟練した部族一の腕を持った織り手が、子孫に伝え継ぐという高い目標があったればこその仕事です。

移動の際、先頭を行くラクダやロバの背に括られた袋は、遠目からでもツヤツヤ輝く神々しい美しさで人目を惹きました。部族の家紋のようなデザインは、その部族を認識し、通過する土地の通行証のような役目も果たしました。また、出来栄えの素晴らしさは部族の高い織りの技術を見せつけ、若い娘たちの結婚に貢献したそうです。
この仕事に感動したオーナーは、両側の柄を見せたくて一枚に直しました。広げた古布は、かわいらしくこんな形です。



ベレケット=豊穣、 眼=邪視除け、 羊の角=繁栄、たくましさ、 水の流れ=生命を支える水が常に身近にありますようにとの願い


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