KJ25353、139x94㎝(房抜き)、東トルコ、ディアルバクル、オールドキリム(ヤギ&ウール/ウール&ヤギ)

キリム長さ 150cm前後, 商品

キリムNo.: KJ25353

産地: 東トルコ、ディアルバクル、オールドキリム(ヤギ&ウール/ウール&ヤギ)

寸法: 139x94㎝(房抜き)

価格: 264,000円

中央の優しい藤色とオレンジのパステルに対し、ボーダーには真っ黒な天然のヤギの毛が使われているキリムです。優しい色調とはアンバランスな上下の太い房も見慣れてくると個性に見えます。2001年に手にした、東トルコの南にある山岳地帯ディアルバクルの100年に近いキリムです。

当時、目にするディアルバクル・キリムの多くは、いかにも山岳地帯らしく、ベージュ、チョコレート、茶、焦げ茶などの無彩色のクラデーションが、水が流れるように織り込まれているキリムでした。天然のウールやヤギの毛を色分けし、織り手が思いのままに糸を入れている天然糸の表情豊かなキリムは、インテリア空間をまとめる優れものでした。

織り手は雑巾を縫うように、一針一針縦糸に横糸を通していく「運針」と呼ばれる作業を、根気強く繰り返しています。染色できる植物が少ない分、彼らは工夫を凝らし技術を高め、創造性に磨きをかけながら部族のキリムを織り継いできました。

そんな高い技術を持つ織り手なら、当然、色彩豊かなキリムにあこがれます。織り手は手にした紫の化学染料に、茜とインディゴを加えながら、青紫、赤紫、藤色、ピンク色などを染めだしています。抹茶色、オレンジ色、枯らし色は植物染料のように見えます。

縦糸は羊の糸とヤギの糸を使い、2本を1本に撚った双糸(そうし)です。
山岳地帯では柔らかい牧草が必要なおとなしい羊より、運動量が多く木の芽を食べるヤギの方が飼育し易く、その毛が織物にも使われてきました。ヤギの毛は直毛です。絡まない真っ直ぐな毛を糸にできるのは、高い糸作りの技術を身に付けた熟練した織り手です。

織り手は縦糸にヤギと羊の双糸(そうし)を使い、化学染料と植物染料で染めた色糸を横糸に、そして中央の柄を囲むボーダーは黒に近いヤギの糸で織り進めていきました。
今、織り手がこのキリムを見たら自分の作品とは思わないでしょう。100年近い時間が濃かった色糸を褪色させ、黒い天然のヤギとのコントラストをより強調させたお陰で、個性的でおしゃれなキリムになっています。

力強い天然の色に囲まれたパステルは、ボーダー柄の所々に見える色使いの遊びが息抜きになり、この織り手にしか表現できないアートな世界を見せています。



眼=邪視除け、 ベレケット=豊穣、 狼の口=邪視除け、 水の流れ=生命を支える水が常に身近にありますようにとの願い


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