キリムNo.: KJ13146
産地: シバス、アンティークキリム(ウール/ウール)
寸法: 140x100cm
価格: 242,000円
コレクションルームのソファの前に広げられたキリムは、落ち着いた色調が控えめな中央のメダリオン柄とマッチし、日本の和室にも似合いそうです。細い糸での細かい織りが、まだ発展中の織り手が精いっぱい頑張ったことを伝えています。言われた価格に無言の私たちに「これはアナトリアキリムだからね。」と問屋さんは話はじめました。
優しい穏やかなキリムを手にしたのは1995年です。
ボーダーの中に柄が織り込まれたキリムを、トルコではアナトリアキリムと呼んでいます。中心に柄を付ける左右対称のキリムを織れるのは竪型(たてがた)織り機です。
早い時期にトルコに入った遊牧民たちはそれぞれの土地に定住するようになり、彼らは牧畜民と呼ばれるようになりました。牧畜民の織り手たちは、固定された織り機の前に座り、左右対称のキリム柄を織り継ぐようになりました。
牧畜民の土地を通過する遊牧民の織り機は、簡単に地面に水平に設置できる水平(すいへい)織り機です。
牧草がなくなると次の土地に移動を繰り返す遊牧民は、地面に水平に張られた織り機でキリムを織りました。移動に簡単なようにその幅は約1m前後、長さはどこまでも織れます。
彼らの織るキリムは縞柄、もしくは,縞模様に部族のデザインがジジム(刺繍)織りされたものです。
トルコではアナトリアキリムの方が高い価格で取引されています。
絹糸のように艶やかなウールを細い縦糸に撚った織り手は、黄緑、抹茶、オレンジ、臙脂(えんじ)、藤色、小豆(あずき)、茶、焦げ茶、など、様々な色を染め出しています。織り手はアクセントに化学染料や濃い天然の糸も使いながら、その豊かな色彩感覚と確かな染色技術で、織り手が創造する楽園を表現しています。
染色に自信のある織り手は、美しく鮮明に染め上がった色糸を生かすため、幾何学文様を小さめに織り込むことにより、それぞれの色を控えめでありながらも印象的に見せています。
しかし、織りの技術はコツコツと枚数を重ねていく以外ありません。
若い織り手の姿が浮かぶキリムは、色出しは感性が、織りは経験が必要であることを語っています。
眼=邪視除け、 狼の口=邪視除け ベレケット=豊穣