KJ30730、284x60cm、コンヤ、トルクメン、ベイリーオールドキリム(コットン/ウール)

商品, 逸品キリム

キリムNo.: KJ30730

産地: コンヤ、トルクメン、ベイリーオールドキリム(コットン/ウール)

寸法: 284x60cm

価格: 286,000円

その昔、世界中で織物は女性の仕事とされていました。
どの地域の女性たちも、それぞれの生活圏内にある素材を工夫しながら使い、懸命にそれぞれの織物を織り継いできました。

世界中どこにでもあるのが植物の根です。織り手達は根から赤色を手にしました。
光と水が豊かな地域では、その年に採取した根を使い、薄い色から濃い色まで、思い思いの色を染めだしました。
水の少ない乾燥地帯の織り手達は、何年もかけ根を採取しました。採取したばかりの根からは、淡い赤色が取れます。乾燥期間が長いほど濃い色素が抽出できるという特性を生かし、3年物、7年物の茜を混ぜ合わせながら、織り手は目指す赤色を根気強く染め上げていきました。

表情豊かなキリムを織ったのは、コンヤ地域を移動したトルクメン族の織り手です。
幾何学文様を持たず色調のみでキリムを織り継いできた彼らは、その色彩センスと高い技術で、色調のみのキリムを織り継いできました。
高度の染色技術を持つ織り手は、身に着けた知識を馳使し、赤色のみで自身の創造する世界を表現しています。心を込めた織物に見えるのは織り手の優れた感性、これを使う娘への深い愛情、祖先への敬愛、使い継ぐ子孫へのメッセージなどです。キリムという文化を、次世代の心から心へ受け継がせるという強い自負が伝わってきます。

柄のみならず色にも意味を持たせる彼らの赤色は、「エネルギー」であり「癒し」です。
茜をベーズに、濃い赤の臙脂(えんじ)、暗い赤のワインレッドが見えます。また、天然の羊の毛を濃い茶、茶に色分け、より濃い重い赤色に染め、濃淡を奥行きあるものにしています。

赤色が出せる植物は、茜系植物の根、バラの根、ザクロやベリー系植物、紅花など、各地にあります。そして動物性染料のコチニールやラックなどからは、独特の深紅色が取れます。
しかしどのキリムも、どのような材料が使われたのかの特定は難しく、織り手の創造性を想像するしかありません。
赤色のグラデーションが、100年に近い昔に私たちを誘います。




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