キリムNo.: KJ25969
産地: デニズリ、新作草木染キリム(ウール/ウール)
寸法: 115x85cm
価格: 58,300円
インテリアの必需品としてキリムの評価が高くなった近年、トルコでは新作キリムを輸出用に織るようになりました。1950年代から始まった国の定住化政策により、それまでテントで暮らした先祖の遊牧民たちは、徐々にそれぞれの土地に定住するようになりました。これまで家具であり、娘の嫁入りの持参品であった、生活必需品としてのキリムの需要は、これ以降、なくなっていきました。
1500年近い文化を持つキリムは、この時からトルコの基幹産業として、海外のマーケットに向けて織られるようになりました。
当時の織り手達は、遊牧生活を続けた祖母や母から織りの手ほどきを受けた女性たちで、家族のために織るキリムから、インテリアとしてのキリムの生産に変わっても、織りの技術は身に着けていました。
価格や効率を考える輸出キリムの多くは、機械で撚られた糸が使われています。本来、織り手の手で紡がれた糸は、人の手の油で大変丈夫でしなやかです。機械に油をさしながら作る糸は、油が長い間に埃を吸い、薄黒くなります。又、油のにおいを感じる事もあります。
これは、東欧系の先祖が織り継いできた繊細なキリムを目指す問屋さんのキリムです。染色は伝来の草木染、そして緻密な織りも継がれました。手紬に負けない程丈夫で細い機械紡ぎ糸は、熟練した織り手により、しなやかで滑らかな表情を見せています。
細い糸で織り上げた細かい織りのキリムは、「インジェ(極細)」と呼ばれ、現代の織り手達の手本のような作品です。
パステルに染められた茶、ライトベージュ、藍、空色、赤、抹茶、黄が織り上げたのは、「生命の樹」と呼ばれる長い伝統を持つデザインです。中央には、大地から生えた大きな樹、その周りを囲むのは沢山の鳥たちです。幸せに向かい飛んでゆく鳥たちは、同じ形でありながら、飛んでいきたい方向がそれぞれです。
豊かな創造力でキリムを織った先祖たち同様、現代の織り手もこれが商品であれ、様々な思いを込め最上の仕事をしていることが嬉しく、感心させられます。
柔らかい色調は、インテリア空間に使い易く、小さな幾何学文様がおしゃれです。
生命の樹=子孫繁栄、 鳥=幸せの予感、幸せに向かい飛んで行く