→キリム長さ 2m以上, 商品
キリムNo.: KJ35260
産地: コンヤ、草木染め新作キリム(ウール/ウール)
寸法: 204x150xm
価格: 385,000円
17~18世紀、オスマントルコが隆盛を極めた時代、チューリップが大好きなスルタンは、宮殿中をチューリップで飾ったそうです。そのチューリップが現在では、イスタンブール市の花となり、飛行場からタクシム広場までをチューリップが飾る春の演出は、見事です。
そんな文化を持つチューリップが大好きな問屋さんの三代目は、上質の手紡ぎ糸を使い、草木染めのチューリップデザインのキリムを織っています。目指すのは、オスマントルコの隆盛期のラレリ(チューリップ)です。当時のチューリップは今より細く長く、エレガントなシャープさを湛えていたと言います。これは、地の織りはウールで、チューリップは華やかさを演出して絹糸で織っているキリムです。
案内してくれた工房で、まず、染色工程を見せてくれました。
染めていた糸はグリーンです。藍色に黄系の色の割合を違えた大きな5~6個のボールに、手紡ぎした糸を浸していきます。染めて、乾燥させ、また、染めての作業を何回も繰り返しながら、彼が目指すグリーンに近づけていきます。「グリーンの植物が出す色は黄土色だ。グリーンはこの世には存在しない色、我々には楽園や天国の色だ。藍色にこの黄土色を加えながらグリーンを生み出していく、先祖伝来のやり方だから大変な時間がかかる。色は生き物だから向き合い方で様々な表情を見せてくれるんだ。」と、笑顔で話す問屋さんです。
その奥にある工房では、若い織り手達が手を動かすことに集中しています。10人近くいる広い部屋から聞こえるのは、糸を入れる音だけです。問屋さんは小声で、織りをチェックしアドバイスを与えています。どの織り手も、インジェと呼ばれる極細糸を使った薄くしっかりした織物を織っています。触らせてもらった織物は、驚く事に、ウールとチューリップの絹糸に段差がありません。それほどの力量を持った若い織り手達です。
美しいグリーンのグラデーションは、どこまでも広がる春の草原と、そこに遊ぶ遊牧民に繋がります。花々が咲き乱れる緑の草原は、イスラム教徒が描く楽園だったに違いありません。まるで当時の草原にいるような雰囲気のキリムは、見ているだけで身も心も穏やかにしてくれます。そして、子孫である問屋さんと織り手が精魂込めた織物が、伝え継がれることの意義も教えてくれます。
チューリップ=神を象徴しています。