キリムNo.: KJ19597
産地: アダナ、アンティークジジムランナー(ウール/ウール&コットン)
寸法: 218x61cm
価格: 308,000円
1999年、「嫁入りの持参品さ。」と問屋さんが広げたのは、くっきりとした表情を見せる、画面全体にジジム織りがなされたランナーです。コットンがかなりのボリュームを占めるにもかかわらず、丁寧に入れられた他のジジム織りと調和し,落ち着いた華やぎを醸し出していました。深く重い華やかさで藍色と同化しそうなコチニールのような紅色と、藍色が吸収するように落ち着かせているコットンの、不思議なコントラストに惹かれました。
高い染色技術を身に付けた織り手は、上質のウールを強く細く撚り、深く透明度の高い糸に染めました。その上に置かれたジジム織りには、白色はコットン、コチニールに似た紅赤はウールを使い、幾何学柄を惹き立てるように小花を全体に配置しています。その丁寧さはどこか日本的であり、すっかり気持ちを掴まれた私達でした。
目を凝らして見ると、金属、ウールそして絹の布が織り込まれた“幸せの結び”が、所々にみえます。金属は祖母がキリムに織り込み、絹の布は織りの途中に母が結び、嫁ぐ娘は織物と同じウール糸をキリムが織り上がった後に結んでいます。嫁ぐ娘と共に過ごすこの上なく幸せな織り手を想像するだけで、見る私達も幸せになります。
これは100年以上も前の織物です。時空を超えた美しさは、見る者を当時に誘い、また、未来に誘います。アンティークになってもビクともしないキリムは、上質のウールとそれを自由自在に扱える織り手の技術が生み出しました。
喜びに溢れた織り手の滑らかな手は、嫁ぐ娘の幸せを願い沢山の幸せのデザインを、丁寧に丹念にキリムに織り込んでいます。先祖代々、これらのデザインを読み伝える風景がテントの中に見られた事でしょう。
一つ一つの色が、柄が、伝え継ぐ歴史を語っているアダナジジムです。
長いランアーを使い易いサイズにしたお陰で、クッションが二つ出来ました。