KJ33745、169x32cm、トルコ、アナドルー、オールドコットンキリム(コットン/コットン)

商品, 小さなランナー

キリムNo.: KJ33745

産地: トルコ、アナドルー、オールドコットンキリム(コットン/コットン)

寸法: 169x32cm

価格: 52,800円

縦糸が表面に、横糸が見えないほどビッシリと織られている平織り物です。問屋さんは、この織り方を「イブラヒム」といいました。通常ウールが使われるトルコの織物には珍しく、縦糸も横糸もコットンで織られた古布は、固く撚られた綿のお陰で、ずっしりした重さがあります。

「ウールの国でなぜ綿糸なの?」「どこのもの?」の質問に肩をすくめながら、「綿が手元にあった。」「ウールばっかり使っているから息抜きかな?」「技術自慢?」など、様々な答えを、問屋さんは返してきました。

コットンは、気候の良い地中海岸で多く生産され、輸出されてきました。
使い込むほど生成(きなり)になり落ち着きを増していくウールと違い、コットンは白さを増していきます。生産のない東トルコの山岳地帯では、貴重なコットンはアクセントとして大事に使われてきました。アダナを始め生産地の各地域では、ウールより強く丈夫なコットンは縦糸に使われることが多く、縁の下の力持ちとして表面に出るウールを支える存在でした。縦糸と横糸の両方が綿糸で織られた織物は、それほどありません。

「どこのもの?」との問いに、遊牧民の子孫である問屋さんは、トルコのどこかと言う意味の「アナドルー、しいて言えばコンヤ。」と答えました。
移動を繰り返した遊牧民は、身近にあった素材で織りをしました。時に、他部族との物々交換や、大きな街の市場で、目新しい素材に出合う機会がありました。

自然が色調を褪色させた現在、目に映る色は、グレーがかった緑、青、黄と少しの赤を合わせた薄い緑の青磁(せいじ)色と灰色ぎみの赤色です。
植物染料単独では、緑色は染められなかった当時、織り手はどの様に緑色を手にしたのでしょう?動物の毛より植物のコットンの方が、色は染まりにくいはずです。脂を含むウールよりコットンの方が、多くの回数を染色液の中に入れられます。

確かな腕を持った織り手の作品は、波打つようにしなやかで、表面は古いコットン特有のツルツル感があり、気持ちの良い織物です。沢山キリムを目にしてきた私達ですが、織り手達のあくなき探究心には、常に驚かされ、感動させられます。



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