KJ34051、221x152cm、デニズリ、オールドキリム(コットン/ウール)

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キリムNo.: KJ34051

産地: デニズリ、オールドキリム(コットン/ウール)

寸法: 221x152cm

価格: 176,000円

光の加減と見る場所により、茜、臙脂(えんじ)、薄紅(うすべに)、桃色など、赤からピンクまでの色を感じさせるデニズリ・キリムです。
50年位前のこのキリムには縦糸にコットンが使われており、定住化政策によりそれぞれの土地に家を建て新たな生活を始めた遊牧民たちが、自家用から商品としてのキリムを織り始めたことを語っています。基幹産業としてのキリムの輸出が始まったころの織り手達は、ついこの間まで家族の為に自家用キリムを織っていた熟練した腕の持ち主でした。

輸出に精出す問屋さんですが、彼らはサイズ、使うべきデザインとベースになる色などの最小限必要な指示しか出しませんでした。
染色に優れた織り手は色糸全体あるいは使う色糸を自分で染め、問屋さんからの指定デザインに織り手の部族の伝統柄を加え、創造性を自在に膨らませながら、自家用と変わらぬキリムを商品として織っていました。
織り手の力を熟知していた問屋さんの姿勢は、驚くほど素晴らしい輸出用キリムを生み出し、世界のマーケットにキリムが認知される大きなきっかけになりました。
あれから半世紀ほどの時間が流れ世代交代が進み、キリムも商品として定着した現在、当時の様なキリムを目にすることはまれになりました。

ソファ前にピッタリ収まるキリムは、滑らかな織りに狼の口が整然と並んでいます。縦糸に使われているコットンが、ボーダーと柄にも使われ、茜系の地色にうまく柄を浮かせてかわいらしさを強調しています。
ライトグレー、からし色、コットンの白が作るデザインには、化学染料で染められたピンク、オレンジがそれぞれの柄の中心に使われています。織り手は中心の色を使い分けながら、織る事を楽しんでいたようです。

キリムの優しく穏やかな表情は、使う外国人を想像しながら織りを楽しんだ織り手の思いの表れでしょう。しかし、出来上がったキリムは手放すことが出来ず手元で使ったようです。大事に使い継がれたキリムはしなやかです。子孫である問屋さんの修理人は、祖母が染めた赤色に近い糸を染め、丁寧な修理をしています。様々な人の思いが重なり伝え継がれたキリムです。

 



狼の口=邪視除け、 櫛=幸せな結婚を願う


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