KJ-22767、165x100cm、マラティア、アンティークキリム

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キリムNo.: KJ-22767

産地: マラティア、アンティークキリム

寸法: 165x100cm


2000年の夏、まるで日本の藍染めのようなキリムに出合いました。
汗が瞬間に消えてしまう乾燥地帯のカラットした暑さはそれほど応えませんが、藍色の清々しさにホットさせられ、手に入れました。このしっとり感と色調は、日本の藍染めにつながるって行きます。抹茶色も、小豆色も懐かしさを感じさせる色です。日本家屋に敷かれれば、静かな大人の空間を作ってくれます。

丈夫で良質なウールが深い色を引き出しています。無駄毛が取れて芯だけになった現在では、糸のツヤが褪色したそれぞれの色に新たな息吹を吹き込み、一層美しいキリムになりました。

マラティアにはこの様に中央にメダリオン柄を3~4個置き、様々な小柄な文様をその中や周りに織り込んだキリムが伝えられてきました。これは、中央から東アナトリアに定住したクルド族のラシュワン(Rashwan)の織物と言われています。
複雑で細かいこのデザインのキリムを織るには高い技術と根気が必要です。又、豊かな色彩感覚に裏打ちされたそれぞれの色調も、貴重なキリムとしての評価につながっています。

それにしても、熟練した織り手なのに、どうしてこのようにアンバランスなキリムを作ったのでしょう? 朝暗いうちから、羊やヤギの乳しぼりそして加工、家族の食事の世話、テントの掃除等、すべての日常が終わるとようやくキリム織りの時間です。テントの外に設置された織り機に向かう時間が、一人だけになれる時間です。
その日の気分に従い楽しい空想にふけりながら、あるいは信じる神様との穏やかな会話をしながら、織り手は創造の世界をキリムの中に展開していきます。そんな心地良い時間が、織り手本来の大らかでこだわりのない性格を引き出し、キリムが本来あるべきあるがままの形を生み出したのでしょう。

形はともあれ、織り手の高い染色技術や根気強さは子孫の大事な教材として、いつの時代も暖かな笑みで迎えられてきたのでしょう。
存在感あるこのキリムが置かれる場所は、誰もが笑顔になれる癒し空間です。




眼=邪視除け、 ベレケット=豊穣、 クロス=邪視除け


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