KJ1691、298x107cm、アダナ、アンティークキリム(ウール/コットン)

キリム マイギャラリー, 商品

キリムNo.: KJ1691

産地: アダナ、アンティークキリム(ウール/コットン)

寸法: 298x107cm


少々太めで強く撚られたコットンを縦糸に、包み込まれるような柔らかさと織りのしっかりさが伝わってきたキリムは、きれいに並んだエリベリンデ(腰に手を置く女性)で埋められていました。
1988年、私たちが初心者の時に手にしたキリムですが、今見ても素晴らしいです。

トルコキリムは豊かな色調と思っていた私たちに、赤色の濃淡の上を整然と並んだ色が抑えられたエリベリンデは、とても新鮮でした。それぞれの柄がきれいに並んでいるのに動きがあるクラシックなキリムは、おしゃれなモダンアートのようにも見えました。

きれい!几帳面!大変!力強い!などと思いながらキリムを眺めている私たちに、問屋さんはおもむろに「キリムは型紙を使わない、織り手の感情表現だよ。遊びが一杯のキリムさ、良く見てご覧。」と、話しかけてきました。「型紙なし?どうやって織ったのですか?信じられない!」と、瞬間に質問をしたのは、織りをするスタッフでした。

目が慣れてくると、スマートな柄、大きな肝っ玉母さんのような柄、若い柄、ずれた柄、向かい合わない柄、途中から色が変わった柄など、実に盛りだくさんのエリベリンデが織り込まれています。上部の中心は抹茶色で描かれています。そしてキリムの上下部が濃い赤色です。確かに、自由自在に色と柄を付けている織り手の感情の動きが見て取れます。

「遊牧民は文章でデータを残す習慣がなかった。柄は先祖から代々伝え継がれた部族の伝統柄だ。織り手は5歳位から織りをする母や祖母の傍で、見様見まねで織ることを、感覚や手にしみ込ませていった。嫁ぎ、キリムを織る立場になると、先祖からの伝統を敬いながらも、自分の感覚も織り込んでいった。キリムが長い歴史を持つ所以がここにある。」と、先祖の仕事をいとおしそうに撫ぜながら、子孫の生の声を聞かせてくれた問屋さんです。

型紙を使い、正確さも大切に、極めることを目指すのが日本の織物です。織り手のその日その日の感情が織り込まれていると言うキリムの面白さを教わったその時から、私達のライフワークとなったキリムです。



エリベリンデ(腰に手を置く女性)=繁栄、多産、豊穣

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