KJ17485、223x131cm、地中海岸アナトリア、レイハンル、アンティークキリム

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キリムNo.: KJ17485

産地: 地中海岸アナトリア、レイハンル、アンティークキリム

寸法: 223x131cm


1997年、憧れのレイハンルを手に入れて以来、2枚目のレイハンル探しに問屋さんを訪ねる楽しみが増えました。目にするのはどれも素晴らしいレイハンルなのですが、長く大きく、部屋を飾るキリムである事を念頭に置くと、どうしても手が出ませんでした。

1998年、笑顔の問屋さんが広げたレイハンルは、キリムのバイブルと言われる「Kilim The Complete Guide」で見た事のある馴染みのデザインです。
最初に右、次に左と織ってあり真ん中が剥がれています。左右は何とか対称ですが、そこは織り手のこだわりのない自由な心の動きが織り込まれています。色調の褪色具合は表情があり左右で違います。自由な織り手と光と神ざまのいたずらが共演したアートです。

植物と化学染料の共作は、ワインレッド、あずき色、蘇芳(すおう)、薄紅(うすべに)、桃色、オレンジ、草緑、藍色、青色、露草(つゆくさ)、などなど、レイハンルの伝統通り沢山の色糸を生み出しています。中央の柄を取り巻くように使われたコットンが、このデザインの華やかさを一層引き立てています。

KJ―16097が草木染めなのに対し、これには草木と化学染料が使われています。
1866年ドイツで生まれた化学染料は、レイハンルの織り手の間にも瞬く間に広まりました。自信溢れる高い技術を持った職人達には、植物では出せない見たこともない色は新しい挑戦となりました。前作以上に色糸を見事に配し使いこなした織り手たちは、貴重な稼ぎ手となり、レイハンルキリムは、多分、当時のニューウエーブとして、各地に広まっていったことでしょう。

問屋さんは本を広げながら、「現在、トルコキリムは産地名で呼ばれることが多いが、レイハンルと言う名前は、レイハンル族と呼ばれた部族の名前なんだ。彼らはシバス地域までも移動を繰り返した。レイハンルは自分にも判別が難しいが、「アレッポ」と「ガジアンテップ」に厳密には別れる。これは19世紀のデザインで、本来のレイハンルは、この様にボーダーにはぶどうの樹と葉が織り込まれ、幾重か、あるいはボーダーの一つにこのデザインが配されている。中心は六角形やダイアモンド型が描かれ、多色が使われている。」と、まるで価格の高さを言い訳するかのように、彼なりの所見を聞かせてくれました。

ホクホク顔で持ち帰り、長い間コレクションルームにあったレイハンルは、今後、益々魅力を振りまいてくれることでしょう。




樹=不滅の繁栄、 眼=邪視除け、 ベレケット=豊穣、 チェスト(箱)=子孫繁栄、
羊の角=豊穣、繁栄、たくましさ、 水の流れ=生命を支える水が、常に身近にありますようにとの願い


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