KJ16094、165x147cm、カフカス地方、ダゲスタン、アンティークキリム

キリム マイギャラリー

キリムNo.: KJ16094

産地: カフカス地方、ダゲスタン、アンティークキリム

寸法: 165x147cm


1996年~1998年頃のイスタンブールのキリムマーケットは、カフカス地域からのキリムが多く見られるようになりました。ソ連崩壊後、カフカス地域から元気で意欲満々の若者たちが、キリムを担いで陸路やってきた時期です。
先祖の織物の価値を知ってか知らんか、彼らがお金に換えるために持ち込んだ織物の中には、美術館に置いておくべき雰囲気と最上級のクオリティーのアンティークキリムがありました。大喜びしたのは、勿論、トルコの問屋さん達です。
問屋さんの手を通った逸品キリムは、美術館価格になり、我々外国人の元に散らばって行きました。

1997年の春、夕方近くに寄った問屋さんのウインドーに飾られていたキリムは、暗くなっていく夜空を描いているかのように、重い藍色、蘇芳(すおう)と赤茶色の組み合わせが古さの価値を見せつけていました。キリッと織られたキリムは、全く古さを感じさせない所、威厳に満ちた印象深い雰囲気でした。上等のウール、細かい柄付け、重厚感のある色調、このキリムのすべてが、伝統の持つ重みを語っていました。その価格にため息をつきながら手にしたのを、今でも忘れません。

降雨量が少なく山間部では牧畜が盛んに行われたお陰で、良質の羊毛が豊富に供給されたダゲスタンでは、伝統工芸である金属細工の影響もあり絨毯やキリムも、細かい仕事が伝えられてきました。トルコ支配その後のロシアとの統合は、ダゲスタンの文様の幅を広げ、幾何学文様と花柄の組み合わせや、様式化した動物の角や、樹や植物文様などが伝統柄として伝えられてきました。

長い間外国人に門戸を閉ざしたダゲスタンの織物は、ほとんど目に触れることがなく、外部とは隔絶されぎみの山岳のキリム作りは、地域性の強い織物として伝統がしっかり継承されてきました。お陰で、この様な織物を目にすることができるのです。

これから床に敷かれても、壊れる心配がないほどに強く丈夫に織られた宝物は、文化の持つ意味を語りながら、益々存在感を増してゆきます。




樹=子孫繁栄、 眼=邪視除け、 狼の口=邪視除け、 鳥=幸せの予感、

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