キリムNo.: KJ29342
産地: マラティア, アンティークキリム(ウール/ウール)
寸法: 316x83cm
価格: 396,000円
東トルコ・マラティアのキリムというと、色彩豊かな明るいキリムがイメージされます。山岳地帯にありながらも、豊富な水と強烈な太陽の恵みが豊かな植物や果物を育て、織り手の色彩感覚を鍛え続けた結果、生まれたキリムです。また、マラティアはクルド人の多い町です。
クルド族は、どの部族よりも長く、2000年も遊牧を続けた人々です。彼らは長い遊牧のどの時代も、常に良い種を選び飼育牧畜を繰り返したお蔭で、羊の毛は長く紡ぎやすくなり、柔らかい繊維へと進化を続けてきました。
そんな伝統を受け継いできたマラティアは、上級のウールの産地です。
長い時間が磨き上げた美しい長いランナーに、誰もが感嘆の声を挙げます。
白はコットンです。使い込むほど白さを増していく綿が、このキリムが100年近いことを教えてくれます。
これは娘の嫁入りの持参品の、特別な一枚です。娘は、床敷き、間仕切り、タペストリー、衣類袋や穀物袋など二十数枚のキリムを持って嫁ぎます。
糸、織り、染めの三拍子が揃ったキリムを持ち嫁ぐ娘は、嫁ぎ先に福をもたらす良い嫁とかわいがられました。夫からの返礼の家畜の贈り物の数は、キリムの出来の良し悪しで決まったそうです。娘に持たせるキリムは、娘の実家の実力と心意気を物語っていました。
部族の長や実力者の娘は、このようにおめでたの印、「金属」を糸に織り込んだ珍しいキリムを持って嫁ぎました。
織り手の祖母は、孫娘の幸せの笑顔、嫁ぎ先の人々の驚く顔、目にする人々の感嘆の声など、様々なことを想像しながら、末長く伝え継がれるキリム作りを楽しんだのです。祖母は卓越した技術を馳駆ししながら、部族に伝わるデザインを通して、珍しい色調や織りの具合などを、孫娘に教えているようです。
ホクホク顔の私たちに、子孫の問屋さんが見せた恨めし気な表情が、今でも忘れられません。時空を超えた美しさは、本物のみが持つ力です。






水の流れ=命を支える水が常に身近にありますようにとの願い 眼=邪視除け
ベレケット=豊穣