KJ33650、167x102cm(約25㎝x4枚)、シバス、アンティークペルデ(ウール/ウール)

商品, 逸品キリム

キリムNo.: KJ33650

産地: シバス、アンティークペルデ(ウール/ウール)

寸法: 167x102cm(約25㎝x4枚)

価格: 308,000円

ペルデは、細長く織られた平織布を呼びます。織り手達は、様々な色調の細長い布を単色で、柔らかく織りました。平織りとは、縦糸と横糸が見える織り方です。
夏の日差しの強い宿営地では、何枚も剥ぎ合わせ、日よけ布として使いました。また、軽い平織り布は、テントの中では4~5枚に剥がれた大きな布にし、寝具カバーや間仕切り、タペストリーなどに加工し、色調の組み合わせを楽しむアートな自家用布として重宝がられてきました。

シバスの織り手は宝物のような孫のために、揺りかごカバーを織りました。
虫は少ない乾燥地帯の夏ですが、肌を乾燥させる強い日差しは、女性たちにも子供たちにも大敵でした。日中の厳しい作業の間、子供は揺りかごの中です。涼しい日陰に置いておいても、日差しは刻々と変化していきます。

高い技術を持った織り手は、本来はふんわり柔らかく織られるペルデを、日差しの強さを考えてでしょう、見事なジャジム織りで織っています。
ジャジム織りとは、縦糸に強い撚りをかけ、織り機に掛け、縦糸が表面に出てくるように織る技法です。日差しの射し込む隙間もないほどビッシリと織られたペルデのお陰で、揺りかごの中の子供は、気持ち良い一日を過ごしたことでしょう。ウールは、夏は肌にヒンヤリ、冬はホカホカの素材です。

織り手は織り上がったペルデに、赤い糸で所々に子安貝を織り込んでいます。
19世紀のオスマントルコは、カフカス地方や北アフリカにまで領土を持ち、ヨーロッパやインドとの交流もありました。商業都市シバスのマーケットに、あるいは、部族の実力者の元に、子安貝が届いても不思議ではありません。
私たちがコヤスガイと呼ぶタカラガイは、世界中の熱帯から亜熱帯の海域に分布しています。陶磁器の様に艶やかな子安貝は、繁栄、誕生や富の象徴とされ、装身具やお守りとして身に付けられてきました。

よく見ると一つずつ大きさの違う貝です。縁を結ぶ赤い糸で、貝に幸せの願いを込め一つ一つ織り込んでいった織り手が残してくれた作品に、彼女と同じ思いが広がります。




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