KJ23569、332x74cm、ヘルキ族、アンティークキリムランナー(ウール/ウール)

商品, 逸品キリム

キリムNo.: KJ23569

産地: ヘルキ族、アンティークキリムランナー(ウール/ウール)

寸法: 332x74cm

SOLD OUT

予約していたショップのドアを開けると目に飛び込んできたのは、つやつやピカピカと光を一面に放つランナーです。何と素晴らしいウールでしょう!「ウエルカム!」というオーナーに、驚きを顔に出さずキリムの周りをゆっくりと回りながら観察を始めました。

ため息を誘うほど輝くキリムは、見事な色調を見せています。黒、紺、紺青、藍、青―インディゴを基調にこれだけの色を出す織り手に圧倒されます。赤色も茶色を重ねながら、あまり目にしたことのない独特の色調です。クルド族の一門であっても、移動地域の環境の違いが、それぞれ独自の色調につながることに納得させられました。
細かい織物は、ジジム織りとズリ織りです。これほどのキリムを織るのがヘルキ族です。

ヘルキ族は、東トルコのヴァン、ハッカリからイラン、イラクの国境地域のクルド族の一つの部族です。
どの部族より長い遊牧の歴史を持ったクルド族は、常に家畜と羊毛の改良を続けてきました。彼らは長い時間をかけ移動地域に適した家畜に育てながら、良い種の羊を選び、もつれ毛であった羊の毛を長く柔らかく紡ぐことができる繊維へと進化させました。羊の群れを世話することが古代人を遊牧民にしていったと言う人がいるほど、羊毛の質は気候と牧草に左右されました。長い遊牧の歴史を持ったクルド族の毛が上等であることは頷けます。

評価の高いクルドの織物のなかでも、ヘルキ族のキリムは、重厚感ある赤茶色と深い藍色に白の伝統的色調に加え、緻密な織りに定評があります。
最上級の濃い茶の天然ウールにインディゴをかけながら、織り手は黒に近づけています。アンティークになったその色は、羊のツヤの協力により黒色です。植物染料で黒色が出せなかった時代の織り手のこだわりに感心します。

子孫に伝え継ぐキリムを織る織り手は、縦糸に2本の糸を撚り合わせた双糸(そうし)を使っています。横糸で柄を付けるキリムです。縦糸は横糸の下に隠れますが、100年後を想像しながら織りをする織り手には、誇らしい作業だったのです。
クルド族に伝わるデザインを、時間を要するジジム織りとズリ織りで織り込んでいます。
見事なウールは織り手の技術と相まって、キリムを一層滑らかに艶やかにさせ、益々目を離せない存在にしています。



眼=邪視除け、 ベレケット=豊穣、 ドラゴン=豊かさをもたらす、 クロス=邪視除け


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