KJ13116、209x140cm、カフカス、アゼルバイジャン、シルヴァン、アンティークキリム(ウール/ウール)

商品, 逸品キリム

キリムNo.: KJ13116

産地: カフカス、アゼルバイジャン、シルヴァン、アンティークキリム(ウール/ウール)

寸法: 209x140cm

価格: 418,000円

1995年に手に入れた2枚目のシルヴァンです。
幅のある横縞柄の中には、伝統の三角形柄とダイヤモンド柄が織り込まれています。キリム全体に置かれた細かい縞柄や、ダイヤモンドや星の幾何学文様と縞柄の組み合わせを過去2年間に沢山見てきた私達には、柄より色調を強調したキリムは新鮮でした。

シルヴァンにしかない深い赤茶色、澄んだ深い青色、表情豊かな幅のある天然のベージュから焦げ茶、どの色にも圧倒されます。置き場を変えながら眺めるキリムの赤茶色には、紫系も含まれているように見えます。

トルコより緯度の高いアゼルバイジャンの半分は山岳地帯です。高地の夏は暑く、長く、乾燥しており、冬の季節のみ雨が降る地域です。しかしカフカス山脈からは多くの川が平原に流れ込み、春になると小さい川は干上がり、大きな川がデルタ地帯を作ります。この豊かなデルタ地帯が農作業に適し、家畜を育て、植物を育て、居住できる地域なのです。

この地域も農業と家畜の飼育の始まりに伴い、ウールを改良しながら植物染料で染める方法を、はるか昔より、織り手達は身に付けていました。
赤色には、茜の根、サフラン、ザクロ、クルミなどが使われて来ました。また、アゼルバイジャンには「グルムズ」と呼ばれる赤虫がおり、これが天然染料で最も高価と言われる、紫系の赤色すなわちコチニールのような赤紫を出しました。

化学染料と違うこれらの染料はウール糸を傷めることなく、色の輝きと彩を与えてくれる自然からの贈り物でした。根気と技術のいる作業でも、織り手達は努力を厭うことなく、糸作りに、染色に、織りに、真摯に取り組んでいきました。

動物性染料が使われているかも知れない赤茶のみならず、青色にも黄色にも様々な工夫が見られる独特なシルヴァンです。そして、見事な天然の茶系のグラデーションが、織り手の豊かな創造性を教えてくれます。

これに丁寧に修理糸を入れながら、大事に使い継いできた子孫たちです。誰かが作ったシミは、着物を洗う洗濯屋さんの糸を痛めるというアドヴァイスに従い、手を加えませんでした。
織り手の卓越した感性と技術が、見る者を遥かなるシルヴァンへ誘ってくれます。



眼=邪視除け、 水の流れ=生命を支える水が常に身近にありますようにとの願い


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