KJ14471、146x111cm、ムット、アンティークキリム(ヤギ/ウール)

商品, 逸品キリム

キリムNo.: KJ14471

産地: ムット、アンティークキリム(ヤギ/ウール)

寸法: 146x111cm

価格: 528,000円

1995年、目にした深くコクのある赤色は、まさに私達の茜色です。
目を凝らすと、その茜に青を加えた臙脂(えんじ)色も見えます。赤色の濃淡のみならず赤色の幅に感心している私たちに、「山岳地帯のムットだよ。見事な色出しは織り手の技術もさることながら自然の力だね。長い時間乾燥させた茜、温度、水そして土が協力した結果、そう、神様からのプレゼントさ。柄付けの遊びも楽しいよ。」と問屋さんは話しました。

当時は、「神様?」でしたが、現在ではその意味を説明出来ます。
遊牧民はデーターを残す習慣を持たず、目の前の先祖のキリムに従い、部族の色を感覚で染め出してきました。同じ茜を使っても、その色は染色した時期、場所、分量や時間により違ってきます。それを、問屋さんは神様すなわち自然からの贈り物と言ったのです。
一反が同じ色であることが当たり前の日本の着物と違い、常に移動を繰り返した生活から生まれた彼らの織物の色は、違って当たり前なのです。
どの赤色も名前を持つ日本の色と違い、織り手達が染め上げる色は、織り手の数ほどあるのがトルコキリムです。赤色の色名を聞いても「赤色」と、多くの問屋さんは答えます。

11~13世紀、セルジュク朝トルコの都だったコンヤのデザインに似ていますが、縦糸には山羊と羊を撚り合わせた糸が使われています。標高約2000mのムットでは、山岳地帯を駆け回る、運動量の多いヤギの飼育が行われていました。
カーリーな羊と違いピーンと張った直毛の山羊の毛は、糸に撚りを強くかけ縦糸にするにもかかわらず、長い時間の使用がその撚りを戻し、キリムの痛みの原因になります。
当時のムットの織り手達は、良い物を作りたい一心から、ヤギの糸と羊の糸を撚り合わせ一本の丈夫な糸を考案しました。100年以上の時間に耐えた縦糸は、しなやかになり、さりげなく艶やかな表情で織り手の努力を伝えています。
先祖たちの工夫は伝え継がれませんでした。現在、手に出来るオールドキリムの縦糸は、ヤギの毛だけで撚られており、100年持つものは、もはやありません。

色出しと糸作りに才能を発揮した若い織り手ですが、遊びが一杯の柄付けは、織る事に集中出来るまでには、まだまだ時間がかかることを教えてくれます。キリムと遊びながら、この織り手の成長を想像するのも楽しいことです。



狼の口=邪視除け、 眼=邪視除け、 星=幸せへの願い、 鳥=幸せの予感、 櫛=幸せな結婚を願う 


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