本日は、2枚のクッションをアップいたしました。
コレクターなら、一枚は持っていると言われるロシア、カラバ地方のアンティークキリムです。長い時間と光が作り上げた深い色調をお楽しみください。
もう一枚は、トルコ、ベルガマのキリムです。
もし二人が同じ時代に織りをしていたら、若いベルガマの織り手は、完成したカラバの織り手の作品に、闘志を燃やしたことでしょう?
100年以上前の織手たちの作品です。
ロシア、カラバの織手は、オスマントルコの支配下に置かれても、現実をしなやかに受け入れ、自分の世界を表現しています。コンヤの織手は、上等の天然ウールを見事に使いこなしています。
ウズベキスタンの織手は、土地に伝わるジャジム織りで、光沢あふれる織物を見せてくれます。そして、カフカス、シルバンでも、織手は伝統のダイヤモンド柄にトルコ、アナトリアのドラゴン柄をうまく融合させています。
どのような事態下でも、織手達の見事な創造力は止まりません。
コンヤ、タシプナルの可愛らしい豊かな色調は、元気を与えてくれます。大胆な力あふれるデザインも、コンヤです。キリムの一大集散地が生み出したキリムは、見飽きません。
山岳地帯カースの織手は、伝統の無染色キリムに色を加え、新しいカースを作りました。
アダナ、カイセリ、アンタルヤ、etc. -こんな時期だからこそ、明るいキリムに癒されます。今年、制作しておりますのは、通常より一回り小さいサイズや横長のサイズです。サイズの違いが、空間に違った雰囲気を作ってくれます。
カフカス地方の伝統である、精緻で上質の美しいキリムの面影を感じさせる、100年位前に織られたアダナキリムです。
腕に自信のあるレイハンリの近隣アダナの織り手は、十分に時間をかけ、必要以上に丁寧な仕事を見せてくれます。
テレワークも一年になります。すっかりこのリズムになれてしまった最近です。
この間、クッション作成や小物作りを楽しみました。
また、少しづつアップを続けます。
今後とも、よろしくお願いいたします。
斎藤 待子
KJ39150,126x67cm,¥150,000.-+税
西アナトリア、マナスティルのアンティークキリムを織ったのは、熟練した織り手です。「どこまでも薄く」を目指し使われた綿の経糸とウールの横糸は、100年以上の時間が流れた今では、しなやかで優しい雰囲気作りに一役買っています。
KJ39151,132x77cm、¥150,000.-+税
コンヤの熟練した織り手のスマックは、本場イランのような緻密さとは違い、ゆったりした糸の使い方がおおらかで、いかにもトルコといった表情を見せています。
熟練した織り手達が、自由自在にそれぞれの気持ちを表現しています。
マナスティルは黒海に近い北部アナトリア(アジア側)にあります。バルカン半島から移住してきた人々が織り継いできたのが、マナスティルキリムです。
赤、ピンク、黄や黒などが使われた礼拝用デザインのキリムが有名です。一枚のキリムに使われている色が多いにも関わらず、バルカンの伝統を引き継いでいるデザインや色合わせは、アナトリアの他地域では見られない、すっきりした独特の雰囲気を持っています。
糸のように細く強く撚られたコットンの縦糸に、まるで綿糸のように細く強く撚ったウールを横糸にびっしりと入れたのは、何枚もキリムを織った熟練した織り手の作品です。
キリムの緻密な仕事が見せる薄さとしなやかさからは、織り手の自負が伝わってきます。
織り手はタペストリーを織ったのでしょうか?
布に立体感を見せるため、縞柄部分は通常の織り、縞柄をつなぐ柄付けは、2本糸を使い厚みを出しています。決して今に満足せず、どこまでもその上を目指した熟練した織り手ならではの工夫が、とてもうれしいアンティークです。
ロシア、カラバのキリムは、コレクターが欲しがるキリムです。修理針も通らないほど細く強く撚られた糸が使われたキリムは、もう少しでアンティークですが、今が旬といった表情で輝いています。
ベルガマもアンティークに近いキリムです。
伝統ある重厚感溢れる色調は、先祖以上の仕事を目指した織り手の会心の作品に違いありません。
東欧系遊牧民を先祖に持つ織り手達は、先祖から伝わる精緻な織りの技術を馳駆ししながら、この草木染キリムを追っています。
細い糸が使われた細かい織りのキリムは、インテリア空間に柔らかさを与えてくれます。
これは“ソフラ(食卓)”と呼ばれ織物です。
ソフラとして織られたこのジジム(刺繍)織りは、幅約130cm 程の長方形の2枚を剥ぎ、正方形に近い形を作っていました。
ソフラには細長いソフラ(ダイニング・ソフラ)と正方形のソフラ(フラワー(小麦粉)・ソフラ)があります。
この幅が130cmに近いソフラは、テントの中でテーブルのように使われてきました。 床に敷き、中心にお盆を置き、人々はこの布のまわりを車座に囲み食事をしました。小ぶりの正方形のソフラは置かれたお盆の上で小麦粉を練ったり、こねたり、あるいは焼き上がったナン(パン)を包んで、保管したりする役目も持っていました。
上等のウールの縦糸と横糸でしっかり織られた布には100年近く使われ続けたにもかかわらず、痛みがありません。様々な色糸で仕上げられた丁寧なジジム織りは、無駄毛がなくなり、ウールの力がそれぞれの柄を一層艶やかに立体的に見せています。
やさしいお祖母さんと優しい自然、そして、大事に使い継いできた子孫のお蔭で、今が旬と言わんばかりの表情を見せるオールドジジムです。
東トルコの山岳地帯、ガジアンテップの見事なアンティークキリムです。遊牧民が畏敬した狼は、「邪視除け」として、アナトリアキリムに良くみられます。
縞柄しか使わないコンヤトルクメンのキリムも、アンティーククラスになるとこの様に幾何学文様が見られます。デザインは、「櫛」幸せな結婚を願う、です。
年代が同じ80年位のキリムです。アプリコットの生産量が7割と言われる芳醇な土地マラティアは、一年中、豊かに実る植物がありました。植物のパワー一杯のキリムです。
カッパドキアの奇岩石群見学はカイセリ空港がら始まります。植物の入手が簡単でなかった土地では、織り手達の工夫が見られます。貴重な植物と当時では貴重であった化学染料のコラボが新しさを感じさせます。
同じキリムから作ったマットは、それぞれの雰囲気を作っています。
ヨーロッパ側トルコ、シャルキョイの伝統を踏襲した細かい織りの薄いキリムです。遠い先祖の織物を手本に、日々、努力を重ねている現代の織り手達の仕事です。
ヨーロッパ側トルコにあるシャルキョイは、バルカン半島からの織物の集散地でした。
古くから、ヨーロッパの香りのする花柄や鳥たちが遊ぶ楽園をイメージにした細かく薄い織物が伝えられてきました。赤色を動物染料のコチニールで染めた手間のかかったアンティークの美しさは、高い評価を受けてきました。
現代の織り手達も、先祖の見事なキリムへ挑戦するかのごとく細い糸を使い、アナトリア(トルコ側)のキリムの力強さとは違った、やさしさ溢れるすっきりしたキリムを織っています。
赤茶色に描かれているのは、幸せへの願いを意味する「星」です。薄い青、濃い青、黄緑に
クリームと、頭上に浮かぶ様々な星を色分けして織り込んでいる織り手です。
現代の織り手にも、先祖の姿勢がしっかり受け継がれているのがうれしいキリムです。
「キリムズジャパンオリジナル」にアップしたのは、過去、三十数年に集めた、アンティークの古布、修理不可のオールド、気に入っている新作キリムのパーツを利用し制作した、キリムズジャパンオリジナルの小さなマット&ランナーです。
すべてサイズの違うキリムマット&ランナーは、キリムの扱いに慣れた、手仕事大好きなスタッフの作品です。
力ある小さな作品と赤い糸で結ばれたお客様との出合いを想像しながら、作品作りに精出しております。
KJ39268
地中海沿岸に近く芳醇な土地アダナの織り手の作品は、色彩豊かなキリムを織り継いできました。豊かな植物は、優しく柔らかい表情をみせています。
KJ39266
東トルコの山岳地帯にあるカースでは、植物の入手は困難な仕事でした。伝えられているキリムは濃い茶、茶やベージュのナチュラルがほとんどです。
この織り手は化学染料で、このキリムを染めました。草色は、通常、縦糸に使われるヤギの毛です。
織手の技術の高さと色彩への憧れが生んだ逸品です,
この30年、沢山のマラティアキリムと出合いました。
古くなるほどに輝やきを増して行く上等なマラティアの糸は、時が経つほど太陽の恵みを一杯に受けた植物の色を引き出してくれます。現在では入手が難しくなった貴重なマラティアです。
使い勝手の良い小さなキリムです。
http://www.kilimsjapan.com/item/nsk90/2179
姫路から15分ほどの「宝殿駅」下車にある、ギャラリー集のオーナー様とは20年以上のお付き合いです。
キリムズジャパン同様、「工芸」を追求してきたギャラリーは、いつ訪ねても好奇心の塊のようなお客様でにぎわっています。
オーナー様と共に、様々な工芸を通して磨き上げた感性は、決して現状維持を許してくれません。緊張ある彼らの関係が、私達にも大きな刺激を与え続けてくれます。
長い間、温めてきたイランのギャッベを初めてご紹介いたします。
ギャラリー集、ギャッベ・ハネそしてキリムズジャパンの3社の方向性が一致した結果のフェアです。
キリムズジャパンはコーディネーターとして参加いたしました。アートのようなギャッベをご紹介しております。
会場:ギャラリー集
兵庫県高砂市米田町米田372-4
℡:090-1480-4270
久しぶりのマラティアは、透明感のある色調と艶やかなウールが笑顔を誘います。
http://www.kilimsjapan.com/item/14135
コットンが縦糸に使われたジジム織は、問屋さんの先祖に対する深い愛情が感じられます。お楽しみください。