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びっしり目の積んだ美しいこのアンティークを、問屋さんはカーズマンまたはエルズルムのキリムと呼びました。もともと貴重品のカーズマンやエルズルムは、織り手のいなくなった現在では、コレクターが待ち望んでいるキリムになってしまいました。

続くロシアとの戦争に、カース、カーズマンに逃れてきた人々は隣のエルズルムにまで避難しました。彼らの多くは、評判の高い緻密なキリムを織り継いできたアルメニア系の子孫でした。

インディゴ、アプリコット、ピスタチオ、コチニール、等々、問屋さんは目に映る色を指しながら、「19世紀後半に化学染料ができる前の染色は、健康な植物と織り手の高い染色技術、それに自然の力が加わった神様からの贈り物だよ。」と、目を輝かせ説明を続けました。使い込むほどツヤを増し、時間が経つほど美しさを増していくカーズマンです。

丁寧に糸を作り、染め、織られた織り手の作品は、時空を超えて今が旬と言わんばかりの表情で、空間を豊かに作ります。

 

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日本の柿色(かきいろ)に似た色を、織り手はアプリコットの幹や葉を乾燥させ、煮だした液に何回も糸を浸し、しっかりしたアンズ色に染めています。

深い藍色は、インドからのインディゴが原料です。

紅赤は、ロシアのカラバキリムで見かける赤です。動物染料のコチニールならアフリカ、カナリア諸島産です。又は、カフカス地域にあった動物染料でしょうか?

様々な地域から様々な人々が様々な交易品をもって集まったオスマントルコの時代は、高い技術を持ったキリムの織り手たちにも刺激的な時代でした。

トルコ産アプリコット、インド産インディゴ、北アフリカ産コチニール、織り手ならだれもが憧れる代表的な染料を使えた織り手の喜びが伝わってくる秀作です。

100年の時間の経過は、最上級のウールをより艶やかにしています。

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マラティアの豊潤な土地が、キリムの織り手たちに豊かな植物や果物を与えたお陰で、彼女たちは西トルコの織り手達と同じ位色を楽しむキリム作りに精出したのです。

これは、見た瞬間豊かさが目に飛び込んでくるオールドキリムです。使われている上等のウールがキリムの表情を豊かにします。艶やかなウールは、植物の色を一層美しく引き出し、アンティークになれる力をその色に与えます。

アクセントに使われている白いコットンは、南トルコに主に生息しており、そこではキリムの縦色や画面にメリハリを与えるアクセントとして使われてきました。

マラティアでは貴重なコットンは、手に入れる手段を持った織り手か、高い技術を持った織り手のみが使えました。

黄緑は、葉から出せる黄土色とインディゴの藍色を合わせながら作る色です。緑系の色は、マラティアが植物が生息した豊かな土地であったことを教えてくれます。

深い茜色や藍色も、透明感が高く美しい表情です。

豊かなマラティアの土地が織手の感性を鍛え、創造力を磨いた結果の作品です。

 

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飛行場でよく見かけるアプリコットの80%を生産する東トルコ、マラティアは、豊富な水と太陽に恵まれた土地です。

豊かな土地は健康な植物を育てます。そこで飼育された家畜は艶やかな上質の糸を生み出し、透明度の高い糸に染め上がります。深く含みのある色に染められた糸は、織り手の創造性を色で表現しているマラティアならではの表情豊かなキリムとなります。

黄緑や緑色は、緑の葉っぱに藍や黄土色などを加え作ります。

この世にないこの色をイスラム教徒たちは、「神様の色」「楽園の色」と呼び、格調高い色として大切に伝え継いできました。

濁りのない赤茶色、茶色、薄紅色、青色、どれも織り手の技術と豊かな自然が生み出した傑作です。

光の具合で表情を変える草木染の織物は、小さくてもその空間の主人公として、落ち着いた華やかさで存在感を示します。

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東トルコ、マラティアの豊潤な土地が生み出した草木染のキリムは、時間の経過と共にウールがツヤを増し、色調は落ちついた華やかさを増していきます。

山岳地帯にありながら、豊かな水と太陽の光に恵まれたマラティアの織り手達は、豊富な植物を使い、それぞれの思いを「色」で表現してきました。一年中、様々な色に囲まれ過ごす織り手達は、手にする植物の力を借りながら色彩感覚を磨き、鮮明な色出しを目指しました。

豊かな水、降り注ぐ光、そして新鮮な空気が育てた植物は、健康な家畜を育てました。艶やかで豊かな羊の毛から作られる上等の糸は透明度の高い糸に染まりました。色糸の染め上がりを想像しながら、これから生まれるキリムの構想を楽しそうに練る織り手たちです。

70~80年ほど前の織り手達は、鮮明な色の美しさを称えるかのように、それぞれの色を縞柄に織り込みチュアル(衣類袋)や大きなランナーを作りました。

マラティアの織り手が生み出した軽やかな色彩は、日本の空間によくマッチし好まれてきました。しかし、1950年代より始まった定住化政策は、遊牧民の生活スタイルを変え、彼らの伝統的なキリムは現在では貴重品です。

「春爛漫」と名付けたいようなキリムは、思わず笑顔が出そうな優しい表情でお部屋を明るくしてくれます。

 

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ヤヒヤリは、中央アナトリアの南を走るトロス山脈の北にある町です。

カイセリに近い町は、現在は、トルコの様々な地域同様、基幹産業である輸出用キリムの産地です。輸出を念頭に置きながらも、先祖伝来の色調とサイズを守り、丁寧な仕事で少量のキリムを生産しています。

ヤヒヤリに伝わるキリムはオレンジ色を含まない赤色と濃茶、濃い藍色や天然の黒に、天然の白いウールの色調で、キリム柄が画面全体に織り込まれたものです。

焦げ茶や藍、そして天然の白には落ち着きや明るさがあります。 また、オレンジを含まない赤色、すなわち血のように黒い赤は西洋的な大人の赤と見なす方が多く、落ち着く色として、ご自分のインテリアにはっきりしたイメージをお持ちの方に好まれます。

どのような場所にも使えるヤヒヤリですが、明るい床や白い壁などが使われている空間では、お部屋のアクセントとして引き締め役を果たしてくれます。また、濃い床や落ち着いた壁などの場合、その空間に昔からあったかのように馴染みます。

様々な文様が織り込まれたクッションも、落ち着いた遊びある空間作りに一役買ってくれます。

右下のライトグレイ部分に、丁寧な修理が施されています。

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東トルコの山岳地帯に位置するカースでは、無染色のウールを色分けし横糸に、ヤギの糸を経糸に使ったキリムが伝え継がれてきました。植物の少ない地域の織り手たちは、天然の糸の濃淡を利用し、土地それぞれの落ち着いたキリム作りに頑張ってきました。

19世紀後半、ドイツで生まれた化学染料が、瞬く間にトルコ各地に広がり、カースの織り手たちも、初めて手にする化学染料に、一喜一憂しながら、染色の幅を広げていきました。

赤、オレンジ、ピンク、緑、青などの染料で染め出した糸は、目にしたこともないほど鮮やかで織り手たちの感覚を揺さぶりました。それまで身に着けてきた伝統技術のお陰で、織り手たちは自由自在に化学染料を扱いながら、独自の世界観を織り上げていったのです。

この頃から、キリムが遊牧民の生活必需品から現代インテリアの必須アイテムに変わり、世界のマーケットで評価されるようになりました。。

伝統的なナチュラルの落ち着いたカースキリムとは一味違ったアートのようなカースキリムは、しっかり染織の基礎を身に着けた織り手の作品です。

*先祖が水洗いしたキリムは、左側にオレンジ色が薄くにじんでいます。

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つややかな白いウールに茶色の線が、優しさを感じさせながらもシャープでおしゃれです。目に映る織りの表情から織り手の心模様が垣間見えます。

目の前に広がるのはどこまでも続く草原、雲一つない大空、乾燥地帯のダイナミックな夕暮れ、満天の星空。。。。自然の贈り物に気持は満たされます。自然と心がつながった時、織り手のキリムの構想も出来上がりました。

生まれた時から織る事が指名の環境で育った織り手は、嫁入りの持参キリム作り、そして家族のためのキリム作りに人生の多くの時間を費やしてきました。

義務のキリム作りが終わり自分の織りたいキリムが作れる頃には、彼女達は人生の達人になっていました。様々な色糸を使い慣れたコンヤの織り手は、長い間憧れていた無染色のキリム作りにとりかかったのです。

コンヤの豊富な植物で様々な色調に染める腕を持った織り手でも、天然の羊の毛を白い毛と茶色の毛に分け、撚りをかけながら糸にしていく作業は骨がおれます。
しかし、長い間憧れた無染色の織物作りです。

無心に向かう織り機との心地よい時間は、織り手を空想や創造の世界に導き、いつしか織り手のキリムが出来上がります。

時間や光に違った表情を見せるキリムは、出合われた人をどのような世界に誘ってくれるのでしょう。

 

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カースはトルコ東部山岳地帯に位置するため染色できる植物が少なく、天然の濃い茶、茶やベージュが使われたナチュラル、あるいは無染色に近いキリムが伝統的に伝え継がれてきました。

織り手たちはキリムの画面一杯に柄を付けるという工夫をすることで、織りを楽しみ続けてきました。

化学染料が生まれたお陰で、織り手は色を使う楽しさを味わうことになりました。

本来、技術のある織り手です。 赤、ピンク、オレンジ、黄、黄緑、藍、藤色そして黒などの色を、思いっきり楽しんでいるキリムが出来上がりました。

伝統的に伝え継がれてきた長さ4mもある大きなキリムは、誰もが褒めてくれるのに、大きすぎて誰も使えません。

お陰で、たくさんのクッションに生まれかわったキリムは、使う人と共に、ご機嫌でお部屋を明るくしてくれることでしょう。

 

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上質の天然の白い羊の毛と天然の羊の濃茶と茶にベージュの組み合わせは、キリムの集散地コンヤ地域を遊牧した織り手の作品です。

13~14世紀、セルジュク・トルコの都があったコンヤには、多くの外国人が様々な交易品を抱え訪れました。この町を通過した遊牧民たちにも、ワクワクする刺激一杯の街でした。

先祖から伝え継がれた色調や文様に、自分が感じた興奮をチョット織り込むことにより、織り手の新しいキリムの世界を表現してきました。

型紙を使わず織り手の感性が織りこまれているキリムは、織り手の世界に私たちを誘います。

 

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ヨーロッパ側トルコのシャルキョイには、ヨーロッパやブルカリアなどの東欧の影響を受けたキリムが集まりました。まるで機械織りと見間違えるほど、薄い繊細なキリムです。

これらのキリムの多くは、共産圏の高級官僚や貴族の邸宅で、床に置く絵や壁を飾るタペストリーとして使い継がれてきました。時に貴族はパトロンとして織り手を雇い、精緻で洗練されたおしゃれなキリムを制作してきました。

これは15年ほど前に織られた輸出用キリムです。
シャルキョイの伝統に従い、細く強く撚られた糸が使われ、すっきりと織られています。ボーダーに鮮やかな小豆色を使い、藍色を加減しながら、空色、黄緑色、ベージュ色などを化学染料で染めだしています。
色一つ一つは何回か染めを繰り返しており、膨らみのある複雑な色のグラデーションは、オールドキリムに負けない表情を見せています。

このキリムのように、普段目にしている現代の色はすんなり空間に馴染みます。
空間を飾るキリムは、お部屋のアクセントとして、傍に置いていただきたいキリムです。

 

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東トルコの山岳地帯に位置するカースは植物が少なく、織手たちは、天然の茶、こげ茶やベージュなどの無染色糸を使った重く落ち着いた色調のキリムを織り継いできました。

織手たちの“色”に対する憧れは強く、手に入れた貴重な植物染料をキリムの中のワンポイントアクセントとして、大事に使ってきました。

山岳地帯では柔らかい植物が必要な羊の飼育は難しく、遊牧民たちは、木の芽を食べ運動量の多いヤギの飼育に力を注ぎました。乳からはチーズを、肉は乾燥しハレの日の食料や物々交換の材料となり、毛は織物の素材として使われました。

しかし、直毛で硬いヤギの毛を扱えるのは、高い技術を身に着けた熟練した織手だけです。長老たちを先生に、若い織手たちは直毛のヤギの毛の扱いを懸命に学んでいきました。

19世紀後半、ドイツで生まれた化学染料は、織手たちに取り、まさに、神様からの贈り物でした。熱湯にパウダーを溶かし、糸を入れれば、見たこともない鮮明な色が染まるのです。

織手たちは工夫を凝らし、薄い色から鮮明な色まで、幅のある色を手にしていきました。

伝統の重い落ち着いた無染色糸に、新しい息吹が吹き込まれたカースキリムです。

縦糸にヤギ、横糸はウールとヤギを染色した糸が使われています。伝統の落ち着きに明るさが加わったキリムは、現代空間に落ち着いた華やぎを運んでくれます。

 

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マラティア、チュアル(衣類袋)の一部分です。深く鮮明な色調が上等のウールに一層の存在感を与えています。

当方の問屋さんがマラティア出身のクルド族のお陰で、買い付けの度、何百枚もある届いたばかりのマラティアの草木染めの山から、上等の数枚を選択できる特権を長い間与えてくれました。お陰で私達の植物染料や素材に対する目も鍛えられました。

糸作りにも染色にも高い技術を見せる若い織り手です。部族の象徴としてのキリム作りに緊張しながらも、懸命に丁寧に織りを進めていきます。半分織り終えた頃、ようやく肩の力も抜け楽しみながら織れるようになりました。
若さゆえ、時々集中力が乱れます。目の前に広がる緑の草原、一斉に咲き乱れる花々、天上を舞う鳥たちの声、ほほを撫ぜる柔らかな風、織り手はそれらに気を取られながらも織り進んでいきます。

気が散った織り手のキリムは表情豊かです。

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標高3000mのトロス山脈の中腹にあるムットの遊牧民は、経糸にヤギ、横糸にウールを使いながらキリムを織ってきました。

柔らかい草を食み集団生活をするヤギの山岳地域での飼育は簡単ではありませんでした。かわりに、固い木の芽を食べ、運動量が多く、単独行動ができるヤギは、山岳では飼育しやすい動物でした。

カーリーで油分を含む羊の毛は誰もが扱いやすい素材でしたが、直毛で油の少ないヤギの毛を糸にするには、かなりの時間と根気が必要でした。キリムを何枚も織った、熟練した織り手のみができる仕事でした。

織り手は、固く強く撚ったヤギの毛を経糸に、ナチュラルな羊の毛を横糸に濃淡に織り込んでいます。少ない羊の毛を赤、藍、オレンジ、草木色に染め、華やかさを表現しています。

先祖から伝わる伝統的なデザインに自分の感覚を加え、その時の傑作を織り上げた織り手のお陰で、100年近い昔の山岳地帯を垣間見ることができます。

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キリムがインテリアの必須アイテムとなり、輸出が盛んになった現代です。トルコ各地の産地では、それぞれ特徴ある織りと染めで輸出競争をしています。

シャルキョイの織り手は化学染料を使い、表情豊かな色だしが得意です。先祖代々継がれてきた機械織りのように繊細な織りと染めの技術に、織り手のセンスが加わります。

黄色に藍色を加えながら織り手は、黄、黄緑、緑などの色を染め分けています。織り上がったキリムは、置かれる場所で繊細で複雑な色の遊びを見せてくれます。

大きかったキリムの一部ですが、どこを取ってもバランス良く、使い勝手の良い、優しい織物です。

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時間が経つと、その色が退色し落ち着いた雰囲気になるのが草木染です。しかし、トルコでは時間の経過にもかかわらず、その色調が当時のままで褪色を見せない色に高い評価が与えられています。

 

熟練した織り手は出来上がりの色を念頭に、茜と藍を基調に染めをしています。

茜に黄色を加え染め出した柿色(かきいろ)、茜に黄色と青色とほんの少しの黒で染めた臙脂色(えんじいろ)と、茜に黄色と青色を加えた蘇芳色(すおういろ)に赤色を染め分けました。

更に黄色に黒を混ぜ、オリーブ色より茶色にした桑色(くわいろ)、それを茜と藍の液で染めた濃い紫色など、織り手の経験とセンスなくしては生まれない見事な色出しです。

 

染色を熟知した織り手は、イメージする色を目指しました。

糸、染料、媒染剤、水、温度、土など、染色に影響を与える様々な素材に長い間向き合いながら、手にした会心の出来栄えは、神様からの贈り物です。

常に先を目指した織り手の豊かな創造力に感心いたします。

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「すごい!どれも日本の色に近い。100年過ぎても生き生きして美しい!」思わずこんな言葉が出たのは、アンティークの落ち着いた深い色合いの中に、渋さと華やかさを見せるキリムに出合った時です。太陽の恵みと豊富な水に恵まれた東トルコ、マラティアならではの色調です。

オレンジ色、藍色に緑を混ぜたくすんだ青色、濃い赤色の臙脂(えんじ)色そして天然の茶色と焦げ茶色、どの色も日本の名前で呼べるアンティークです。

細く強く撚られた糸を、透明感のある色に染めたのは、染色技術に優れた織り手と100年前のきれいな自然です。

当時の豊かな自然は健康な植物を育て、それを食む家畜から良質のウールが取れました。

最高のウールは熟練した経験豊かな織り手により、丈夫で強い糸に撚られ、透明感のある糸に染められました。

糸、染め、織りの三拍子がそろったキリムは100年を超えてますます存在感を増しています。落ち着いた渋さはインテリア空間作りの必需品です。

 

 

「キリム長さ120cm前後」にパキスタン、バルーチの精緻な仕事をアップしました。

インテリアが大好なお客様の多くが最後に憧れるのが、バルーチ族のキリムです。

山岳地帯で暮らした彼らは部族ごと、素晴らしい出来栄えのキリムを伝え継いできました。現在では高値の花となってしまったバルーチのキリムをアッいたしました。

 

 

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パキスタン、バルーチ族が伝えてきたシャフィ織りは、日本では「錦織り、にしきおり」と呼ばれる技法です。日本の錦織りは、結婚式の時に着る最も格調高い留袖の帯に使われています。錦織りは、日本では絹糸を使います。

それに対し、ウールやヤギの毛が織りの素材である遊牧民は、それらを敷物、物入れ、タペストリーなど、家具として使ってきました。

ウールで錦織りとは日本では考えにくい事ですが、身近にある素材がすべての遊牧民は、当たり前なこととして、途方も無い時間をかけ、ウールを綿のように細く撚るという技術を身に付けていました。

そこにあるのは、我々と違った時間を持った心豊かな遊牧民の姿です。

なぜ、こんなに緻密な織物がバルーチ族にあるのでしょう?
標高3000m付近を移動した冬の寒さは、私達の想像を絶するほどだったでしょう。織り手は、いかに寒さを防ぐかに心を砕きながら日々織り続けたのです。勿論、バルーチ族が標準以上の織りの腕を持っていたことが最大の理由です。
磨けば伸びる腕前は織り手達を競わせ、バルーチの織物は、人間の限界を越えた神業のように信じがたい緻密な織物へと昇華されていったのです。

本でしか見たことがなかったシャフィ織り(錦織り)が手に入ったのは幸運です。古い昔の織物であり、これだけの高い技術の物は、二度と手にすることはないでしょう。
キリムが代々伝え継がれている証であることを教えてくれるキリムでもあります。

「キリム長さ120㎝前後」に、バルケシールとフェティエの個性的なキリムをアップいたしました。

KJ14298Aは、バルケシールの遊牧民が織ったチュアルと呼ばれる大きなクッションのような衣類袋です。最小限の持ち物で常に移動を繰り返した遊牧民は、実用品でありながらも装飾品として、生活に潤いを与えてくれるキリム作りに心を砕きました。チュアルを一枚の布に直し、使い易くしてくれたのは子孫の若い問屋さんです。

KJ30476は、フェティエの30年位前の新作です。先祖のキリムを手本に、現代インテリアを意識した作品です。


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