KJ12005、202x110cm、コンヤ, カラプナル, アンティークキリム

キリム マイギャラリー

キリムNo.: KJ12005

産地: コンヤ, カラプナル, アンティークキリム

寸法: 202x110cm


落ち着いたシックなからし色系の縞柄なのですが、強く惹かれる何かが気になり、キリム問屋さんの店に入ったのは1994年の冬です。近づくと外で見る以上につやつやと輝いており、この光に惹かれたことに気づきました。糸の力の大きさに驚かされたキリムです。

「光っているのね?」と言う私達に、「キリムの価格はそのウールで決まる。」と、問屋さんは話し始めました。「上等のウールとは、子羊のノドの毛、コルクウールと呼ばれる毛を言う。コルクウールを使うにはたくさんの羊が必要だが、その毛は柔らかく、ツヤがあり、とても丈夫だ。
昔は、キリムが娘の嫁入りの持参品だった為、コルクウールはそれに使われた。夫になる側からは、羊やヤギなどの家畜が持参品キリムの返礼として娘の実家に贈られた。キリムの出来の良し悪しで、返礼の家畜の数が変わったんだから、キリムを織るお母さんやお祖母ちゃんは、懸命に良いキリム作りに精出したんだよ。持参品キリムにコルクウールが多いのはそんな訳さ。」と、楽しそうな笑顔を見せながら、懐かしそうに話し続けました。

11~13世紀、セルジュク朝トルコの都があったコンヤは、多くの外国人やトルコ人が交易品を持ち、たくさん行き交いました。この地域を移動した織り手たちの、色彩感覚、感性やセンスが磨かれたのは言うまでもありません。

このキリムはサーフ・デザインと呼ばれ、アーチ(ニッチ)が横長のキリムの左右に、横を向いて多数並んで織り込まれているキリムです。このアーチは、来世を信じるイスラム教徒の「天国の門」「楽園の門」です。

サーフキリムは、家族の礼拝用、モスク内で女性の場所を分離するため用、あるいはテントの中のインテリアなど、幅広い用途があったと言われています。サーフ・キリムのデザインは、長い間あまり変化を見せず、今日でもこの地域で織り継がれています。

最上級の糸は、深みのある濁りのない色に染まっています。明るさを感じさせる茜、からし、茶、橙などの伝統的なコンヤの色調のキリムは、使い続けられながら無駄毛が無くなり、芯になった色糸は、光と遊びながら、複雑な色調を一層ふくよかに見せてくれます。
シンプルなデザインでモダンな雰囲気を持つキリムは、手織りのぬくもりとおしゃれな華やかさで見る人を癒します。




▲トップに戻る