KJ36831、143x104cm、デニズリ、オールドキリム

キリム長さ 150cm前後, 商品

キリムNo.: KJ36831

産地: デニズリ、オールドキリム

寸法: 143x104cm

SOLD OUT

使い込まれ何度も水が通ったキリムです。70~80年ほど経過したデニズリ・オールドキリムは、ビクともしないうまい織りのお陰で、今後も使われることでしなやかさを増しながら、大らかな表情を磨いていきます。
現在のデニズリは、輸出用新作キリムの一大産地ですが、このような伝統的キリムが数多く伝わってきたからこそ輸出産地なのです。

洗濯のせいですが、ほとんど気にならない位の色出が濃い赤色にあります。文化として大事に伝え継がれてきたキリムですが、一度、織り手や家族の手元を離れると、商品と呼ばれるようになります。問屋さん達の手元に来たキリムは、まず、洗濯されます。その作業の過程で、色出や不確かな修理など、悩ましい事が起きるのです。
オールドキリムが品薄になりつつある現在では、昔の織り手達が使っていた染料やそれに付随する材料を熟知している問屋さんも少なくなってきました。懸命な仕事の結果であるとは言え、少々残念な気持ちになります。

大らかにどこまでも広がっていそうな星のデザインの周りを飾っているのがドラゴンです。
織り手は孫娘の末長い幸せを祈りつつ、嫁ぎ先の一族の繁栄や将来の豊かさを願いながら、このキリムを織っています。
織られた当時に織り込まれた「幸せの結び」がキリム下方に見えます。このキリムに使われた糸が結ばれた結びは、多くの子孫たちに撫ぜられてきたかのようにフェルト化しています。結びを触るたび先祖と気持ちが繋がるキリムは、家宝として大事にされてきました。

その後、先祖の気持ちを受け継いだ子孫の誰かがキリム上部に子安貝を縫いつけています。
日本でも竹取物語のかぐや姫で、燕の子安貝の話があります。古代中国では貨幣の代わりにも使われたという貴重な貝です。
遊牧民の織物に時に見られる子安貝は、安産のお守りとして、あるいは多産への願いを込め嫁ぐ娘に持たせたり、この様にキリムに縫い付けられました。
アジアの東と西ですが、願う気持ちや祈る気持ちの表現が近い事に、改めて文化の意味を教えられます。



星=幸せへの願い、ドラゴン=豊かさをもたらす、 樹=子孫繁栄


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